犬・猫の迷子特集

犬・猫の迷子特集

大地震などの災害時にペットが迷子になってしまったなどの事例もあり、ペットの迷子対策の関心は高まっています。一方で、犬や猫は、散歩などを除けば完全室内飼いが主流になってきていますので、ペットが迷子になるといわれてもピンとこない方も多いのではないでしょうか。

今回は、実際にどれだけのペットが迷子になっているのか、迷子の原因、予防策、そして実際にペットが迷子になったときに行うことに関してもまとめてみました。

原稿執筆:ミケ川さん記事執筆:ミケ川(みけかわ)
1男(人)2女(猫)の父。
暇があれば携帯で息子と猫たちの写真を撮るのが趣味。
8歳から現在まで常に動物と暮らしており、肉球からペット保険まで動物関連の情報収集がライフワーク。

迷子になるペットの数

迷子に注意と言われても、実際はどの程度の数の犬猫たちが迷子になっているのでしょうか。

動物愛護管理行政事務提要より作成された、環境省の統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(※1)」によると、引き取り数85897頭(犬32,555頭 猫53,342頭)のうち、所有者不明は72,194頭(犬 34,293頭 猫37,901頭)と報告されています。

※1 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況
平成31年4月1日〜令和2年3月31日 参照:https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

いわゆる迷子犬・迷子猫は、飼主自身が持ち込んだケースを除いた”所有者不明”のほうに含まれます。

こうした収容された犬猫のうち全体として11,119頭(犬10,814 猫305)が返還されていますが、飼い主から持ち込まれたものが返還されるケースもありすべてが迷子犬・猫の返還かは統計ではわかりません。

圧倒的に犬の返還数が多いのは、所有者不明に迷子犬が多く含まれていたことが考えられ、猫が少ないのは、野良猫が多く含まれているからかもしれません。

それ以外の理由としては、殺処分までの期間が短いことが考えられます。 殺処分までは、平均で4日ほど(自治体ごとに異なります)といわれており、犬の場合脱走するとすぐに気が付き、犬の安否とともに、他の人に噛みついてけがをさせてしまうのではといった懸念からすぐに探すことが考えられます。 一方で、猫の場合、日頃から脱走する癖のある子もいることや、完全室内飼いでないケースなど、外にでてしまうことに飼い主がなれていて、探すまでの初動が遅れてしまい殺処分あるいは譲渡(41,948頭(犬16,312猫 25,636))されてしまっていたというケースも考えられます。

保健所に収容された場合の返還数は約33%、殺処分が約17%、譲渡が約50%ですので、収容されてしまうと、67%の確率で再び出会うことができなくなります。 さらに自治体にはその何倍もの、迷子になった犬や猫を捜す飼い主からの問い合わせがきています。 また、環境省のデータや自治体の問い合わせ以外にも、迷子のまま交通事故で亡くなってしまうケースや、すぐに見つかるケースなどを含めると毎年かなりの数の犬猫の迷子が発生していると考えられます。

犬の迷子の原因

ペットを迷子にしないためには、どんな原因があるのかを理解する必要があります。 まず、ペットの迷子の原因は、犬・猫によって少し違います。

犬の場合に多いのは飼い主の不注意やアクシデントがきっかけになるケースです。

例)
●未去勢のオスがメスのヒート(発情)に反応し飛び出していった
●雷や花火,地震、工事の音、事故の音など大きな音に驚いて飛び出した。あるいは、驚いた犬のすごい力に不意をつかれてリードを話してしまった
●散歩や旅行先でノーリードで自由に走らせていたらそのままいなくなった
●宅配便や来客などでドアや門をあけた瞬間に隙聞から出て行った

猫の迷子の原因

猫の場合の迷子も犬と同じように、大きな音に驚き家を飛び出てしまうこともありますが、多くは、外への出入りを自由にしていた場合や、不妊去勢処置をせず、発情し出て行ってしまうケースです。

ペットの迷子、対策と予防

迷子の予防については犬猫ほぼ共通しています。

① 不妊処置を行う
犬猫共通ですが、メスがヒート(メス)を起こすことにより犬は落ち着きをなくします。数キロ先からでもオスはメスのヒートを感知できるということを認識しましょう。 繁殖の予定がないのであれば、獣医師に相談の上できる限り早い時期に行うのが望ましいとされています。早期での不妊去勢処置を行うことで、乳がん、子宮がん、前立せんがんなどの可能性を減らすこともできます。

② 完全室内飼い
猫の場合は完全室内飼いが可能で、室内に高低差をつくりきちんと運動できるようにすれば問題ありません。また、犬の完全室内外は不可能ですので、散歩を除きリードをし、絶対に放し飼いにしないということが重要です。迷子以外に、第三者への噛みつきやほかの犬との闘争を防ぐこともできます。

③ 飼育環境の整備(脱走の防止処置)
うちの子に限って大丈夫という考えは捨て、隙があったり、アクシデントがあれば、犬猫は脱走しようとするものだと考えましょう。
室内に関しては、外につながるドア、窓の戸締りの徹底や、ドアを2重にするなどの対応が望ましいです。窓については網戸が特に危険で、その気になれば猫でも外してしまうことがあります。これらを徹底することでたとえ大きな音がしても室内からは簡単に外には出られません。ドアを2重にすることができれば隙があっても物理的に部屋をわけることができますので、脱走を防ぐことができます。

④ 鑑札、迷子札、マイクロチップの装着
迷子になった犬猫が誰かに保護された場合、名前、住所、氏名、連絡先が分かれば連絡が入る可能性があり、身元確認できる鑑札、迷子札、マイクロチップの装着は重要です。
ご存じない方もいらっしゃいますが、犬の場合、鑑札と狂犬病と某注射済票は法律により義務付けられています。これが一般的な迷子札の代わりにもなります。猫の場合は、市販の迷子札を首輪につけると良いでしょう。
最近ではマイクロチップの装着義務化が動物愛護法に規定されました。

詳細は当サイト内の以下の記事からご確認ください。
ペット保険小町:マイクロチップの装着など。改正動物愛護法とは…?改正された内容とポイントについて

原則飼育中の犬猫については努力規定ですが、自治体によってはマイクロチップ装着に関して助成を行っている場合もありますので、これを機会に装着を検討するのをお勧めいたします。

詳細は当サイト内の以下の記事からご確認ください。
ペット保険小町:知ってます? マイクロチップの役割や費用、助成金の出る自治体などについて

⑤ ペット保険への加入が迷子対策になる
ペット保険に加入することで、ペットが迷子になった際のサービスを付帯しているペット保険会社もあります。現在はアニコム損保のみですが、契約中のペットが何かの拍子にいなくなってしまった場合、迷子捜索を専門に行うペット探偵(ジャパンロストペットレスキュー(JLPR))がかけつける無料サービスです。
発見率は猫で約85%程度とのことで、正式な依頼後に飼いと事前に打合せをし、その後ポスター・チラシの作成、現場付近での捜索、捜索状況や結果の報告などを行ってくれます。具体的には3日間の操作料金と出張費は無料になります。

また、ペット保険ではありませんが、東京海上日動火災保険はオープンストリームと提携し、オープンストリーム社が販売する発信機付きの首輪「ねこもに」に保険を付帯、この保険で同商品の故障以外に、同商品を使っても猫が見つからなかった場合にペット探偵社による捜索代行費用を補償されます。

詳細はこちら(https://nekomoni.com/detail/insurance.html

また同様の迷子犬サービスには、PECO(https://peco-japan.com/lost-pet-zero/web/)が行っている迷子サポートサービスもあります。

①~⑤以外にもGPS付きの首輪を付けて万が一に備えたり、室内用のカメラを設置してスマートフォンなどでペットの動向を常に確認できるように方法も考えられます。

ご紹介した内容のなかで①~④は犬猫と暮らすうえで、必須の内容です。⑤についても日頃から準備をしておくことで万が一の際にもスムーズにペットを探すことが出来ます。

迷子になった場合のやることリスト

実際にペットがいなくなってしまった場合、焦ってしまい、闇雲に行動してしまうこともあります。まずは落ち着きを取り戻しましょう。そして、待っていれば帰ってくると考えて様子見することは絶対せずに、探し出すために行動に移しましょう。

以下に行うべき基本的な内容をまとめました。家族や友人、知人に協力してもらえる場合は手分けして行うと発見までの時間の短縮にもつながります。

①どこから脱走したのか、どの方向に脱走したのか確認する
散歩中や目の前で脱走した場合は、どの方向に脱走したのか記憶・記録しましょう。犬猫共にすぐに追いかけることは重要ですが、本気で走られた場合は、確実に見失いますので、どの方向に逃げたのかを把握することはとても重要です。

また、目の届かないところでいなくなってしまった場合、どこから脱走したのかの確認が必要です。

外へとつながる経路は一般宅であればある程度限られていますので、開けっ放しの場所や、網戸が外れているなどあれば、そこが脱走経路の可能性があります。

また、ここで注意したのは、本当に脱走したのか疑うことです。
ペットと暮らしている方なら想像がつくと思いますが、家族の後ろをついて行って、別の部屋に閉じ込められた、押し入れで寝ていた、タンスで寝ていたら閉じ込められた、といったケースが考えられます。それ以外にも、猫の場合などは、ベランダの室外機の裏に隠れていることや、2階以上の建物の場合、下に降りるのにうまくいかず屋根などで立ち往生しているケースなどもあります。

このように一つずつ可能性をつぶしていくことが大切です。

②警察・保健所・動物愛護センターに連絡する
公共機関への連絡は最重要です。①と同時に行っても良いでしょう。
大げさにしたくない、恥ずかしいと感じて中々行動に移さない方もいますが、今生の別れになる可能性があることも踏まえて行動に移しましょう。見つからずに「最善を尽くさなかった…。」と後悔するよりも、すぐに見つかれば「お騒がせしました。」と一報を入れれば済むことです。

まず、警察への連絡は、保護した方が警察に届ける可能性があります。届出を行っており、確認できれば警察から連絡が入ることもあります。ただ、問合せただけでは、届出とはみなされません。最寄りの警察署に正式な届出先、届出方法を確認しましょう。

また、ペットの大きさによっては移動が速く、県境や市区町村の境近辺の地域では隣の自治体の警察に届け出することも大切です。連絡が遅れると、保護されていた動物は保健所などに引き渡されてしまいます。

保健所・動物愛護センターに収容されると命の時間が設定されます。自治体によって異なりますが、おおよそ4日程度です。届出などはありませんので、まめに問い合わせることが重要です。

以下のサイトから各自治体の収容動物を確認することが出来ます。
環境省 収容動物検索情報サイト
(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/shuyo/link.html

③動物病院へ連絡
かかりつけの病院はもちろん、周辺の動物病院に連絡しましょう。業務の邪魔にならない程度に声がけしてもらえるようにお願いしてもよいでしょう。また後日ポスターを張らせてもらうお願いもしましょう。動物好きがあつまる場所ですので、迷子情報自体はすぐに広まります。

④地域の保護団体などに連絡をする
動物病院同様に、動物の情報が多く集まるので、事前にしらせておくと、似ているペットを保護した場合など連絡をもらえることもあります。

⑤契約している迷子サービスがあれば使用する
ペット保険やペットグッズやペットアプリ付帯のサービスでの迷子サービスへの登録があれば、迷わず使用しましょう。

⑥ポスター・チラシを作る
アナログではありますが、だれでも目にすることが出来るので、今でも十分に効果が期待できます。

【記載すべき内容】
● 全身が分かる写真を用意し、大きく表示する
●「探している」ことが分かるように迷い犬など大きくタイトルを書く
●名前、年齢、体重、毛色、不妊の有無、首輪、いなくなった場所、性格を記載
●犬であれば噛み癖がある場合などは、近づかない旨を書く
●連絡先については、いたずらも多いので、氏名は仮名のほうが良い。(仮名で電話がかかってきた場合ペットのことだとすぐわかるメリットもある。)
●迷子ポスターを専門に作る会社もありますが、迷子から日が浅い場合は、手書きでもよいのでポスターを作成しコピーをして張るほうが早い

余裕があるのであればチラシやポスターに透明のビニールをかぶせたほうが長持ちしますので検討しましょう。

【貼る場所】
●公共の場所については、貼ってよいのか最寄りの自治体に確認することが大切です。
電柱に貼るケースが多く見受けられますが禁止されています。
●動物病院やトリミングサロンなどペット関連の施設については、相談すれば張ってくれる可能性も高いでしょう。
●コンビニは一定の区画にあり、人の出入りも多いため、店主のOKさえもらえれば掲示すると効果的です。
●協力してくれるかは個別のケースによりますが、周辺の学校にもお願いしてみるとよいでしょう。登下校で見かける可能性もあります。

張る場所ではありませんが、周辺地域を回る郵便局や配送業者に迷惑にならない程度に声をかけるのも一つの手です。特定の地域を周回しているので、犬猫に出会う可能性も高いでしょう。

⑦インターネットの掲示板やSNSをつかう
ネットに余多ある迷子ペット掲示板への迷子情報の書き込みや、制作したチラシやポスターを拡散するために、インターネットやSNS等を使うのも一つの手でしょう。多くの人の目に入り探し出せる可能性がある一方で、個人情報に近いものが拡散されるため、いたずらや嫌がらせに遭う可能性もあり得ます。もし利用するのであれば、危険性を理解し利用されることが重要です。

⑧捜し歩く
手ぶらで探すのではなく、制作したポスターと遭遇したときに引き寄せるおやつやご飯、おもちゃなどを携帯しましょう。また、犬の場合は身柄確保した場合用に首輪とリード、猫の場合はキャリー、難しければ、洗濯ネットをもっていきましょう。

発見した際はいきなり近づくのではなく、徐々に声をかけ、おもちゃやおやつで引き寄せ、安心させてから捕獲しましょう。

猫の場合は、追えば追うほど逃げるケースも多く、その場合は、専門のボランティアや自治体に相談して捕獲器を借りることも検討しましょう。

犬・猫の迷子・まとめ

ペットの迷子のほとんどは、飼い主の注意や準備で防ぐことが可能です。一方で、一度迷子になり保健所に入ってしまうと、4日程度しか命の猶予がありません。

また、殺処分・譲渡を合わせると全体の67%は飼い主のもとに帰ることができません。これが今の日本の現状です。万が一迷子になってしまうと厳しい現実が待っています。

ペットの迷子対策は、ペットと暮らすためのエチケットです。また、今後大きな災害がないとは言えません。そうした場合の備えも含め、一度愛犬、愛猫の迷子対策について考えてみてはいかがでしょうか。

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