犬・猫の予防接種は受けるべき? 必要性と予防接種の種類、防げる病気について

犬・猫の予防接種は受けるべき?

原稿執筆:ミケ川さん記事執筆:ミケ川(みけかわ)
1男(人)2女(猫)の父。
暇があれば携帯で息子と猫たちの写真を撮るのが趣味。
8歳から現在まで常に動物と暮らしており、肉球からペット保険まで動物関連の情報収集がライフワーク。

人間の予防接種があるように,、犬猫にも予防接種があることはよく知られていることですが、毎年あるいは数年に一回の接種が必要です。そもそも頻繁に受ける必要性はあるのでしょうか?
今回は犬猫の予防接種の必要性と予防接種の種類、防げる病気についてまとめてみました。

A. 犬猫のワクチンの必要性

ワクチンは感染症を予防する目的でつくられたもので、病原体から精製し無毒化・弱毒化したこれらの抗源を接種することで病気に対する抗体を生じさせ、感染の予防を行うものです。

犬猫には、命にも関わる恐ろしい感染症があるためワクチンを接種する必要性はあります。 現在の日本では犬猫共に完全室内飼いが増え、未接種でも問題ないと考える方もいらっしゃいます。ただ、感染症は完全室内飼いであっても、人間が靴や洋服などに付着した土で寄生虫を家に持ち込む、蚊や蚤・ダニが家に侵入し感染することもあり得ますので万全を期するのであれば接種は必要といえます。

A-1. 狂犬病予防接種と任意の感染症予防接種

こうした感染症の中で、日本では狂犬病予防ワクチンについて飼い犬への接種が義務付けられています。理由としては、非常に致死性が高く、犬から犬・ほかの動物への感染や、犬から人に感染する「人獣共通感染症(ズーノーシス)」であるということもあります。

狂犬病についての詳細は以下のページもご参照ください。 

狂犬病、意外と知らない危険性や感染経路 ワクチン接種率、日本・海外の状況まとめ

また、海外にペットを連れていく際は犬・猫を含めた多くのペットに接種が義務づけられる場合が多くあります。

一方で犬・猫ともに、狂犬病”以外”の感染症予防ワクチンについては、法的義務はありません。日本においては、多くの感染症予防ワクチン接種については、飼い主に任されているのが現状です。

しかし、一匹の感染が多くの犬猫への感染を招く可能性もあり、ペットホテルやドッグランなど複数の動物が集まる施設では感染症予防ワクチン未接種の場合利用を断られるケースがあります。法的義務はありませんが、感染症予防ワクチン接種は飼い主のマナーと言ってもよいでしょう。

また、ペット保険に関しては、未接種でも加入できる場合がありますが、接種していれば防げる病気に罹患した場合は、保険金の支払対象外になります。未接種でも加入できるかどうかは個別保険会社までお問い合わせください。

B. 犬・猫の予防接種の種類

犬・猫の予防接種には、狂犬病予防ワクチンのように法的に義務付けられている場合と、そのほか感染症ワクチンのように飼い主に接種を任されているワクチンがあります。これらワクチンは、病気に感染したときの重症度からコアワクチンとノンコアワクチンに分けられます。

コアワクチンとノンコアワクチン

ワクチンには,重症度の高さ(致死性が高い)から接種すべきコアワクチンと,感染のリスクに応じて接種するノンコアワクチンの2種類があり、犬・猫によってコアワクチン、ノンコアワクチンの内容に違いがあります。

B-2. 犬のコアワクチン

犬のコアワクチンの対象になっているのは4つで、犬ジステンパー犬パルボウイルス感染症犬伝染性肝炎(アデノウイルス)狂犬病です。

日本で法的に義務づけられているのは狂犬病予防ワクチンだけですが、そのほかにも致死性の高い病気はあるのです。

B-3. 犬のノンコアワクチン

犬のノンコアワクチンの対象になっているのは2種類でレプトスピラ病(イクテモヘモラジー、カニコーラ)パラインフルエンザウイルス感染症です。

コアワクチンではありませんが、ドッグランや不特定多数の動物が集まる場所や、野外へのお出かけが多い犬の場合は忘れずに接種することが大切です。

B-4. 猫のコアワクチン

猫のコアワクチンの対象になっているのは、猫汎白血球減少症(猫のパルボウイルス感染 症)猫ウイルス性鼻気管炎猫カリシウイルス感染症(FC-7)の3つです。

猫カリシウイルス感染症のFC-28、FC-64に関しては、7種混合ワクチンで対象となり、いまのところノンコアワクチンとされているようです。

B-5. 猫のノンコアワクチン

猫のノンコアワクチンの対象になっているのは、猫白血病ウイルス感染症猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)クラミドフィラ・フェリス(クラミジア)感染症猫カリシウイルス感染症のFC-28、FC-64です。

C. ワクチン接種プログラム(接種間隔)について

子犬・子猫からのワクチン接種プログラムは、一般的に8週、12週、16週が目安で、その後ブースターとよばれる再接種を24週または1年後にコアワクチンを含む混合ワクチン接種します。

以降は、コアワクチンは3年に1度、ノンコアワクチンは、1年に1度接種するのが一般的です。

狂犬病は犬のコアワクチンですが、日本の法律で毎年の追加接種が義務付けられています。猫においては、多頭飼育で室内と屋外を行き来するような高リスク群の猫たちにはコアワクチンも毎年の接種が推奨されています。

一方で、ワクチン接種時期や回数については年々常識が変化しています。以前はコアワクチンも年1回だったものが、現在では3年に1回と変化し、さらにコアワクチンの抗体を調べた研究では、犬ジステンパー,犬パルボウイルス感染症,犬伝染性肝炎(アデノウイルス)の抗体については、15年間持続した事例もありかなりの長期間持続(*)するといわれています。

*WSAVA犬と猫の ワクチネーションガイドライン2015年版(ワクチンの持続期間より)
https://www.wsava.org/WSAVA/media/PDF_old/Vaccination-Guidelines-Article,-Michael-Day-Japanese.pdf

ただし抗体が持続する間隔は個体差があると考えられますので、すべての犬が15年もつかどうかはわかりません。

D. 混合ワクチンの種類

混合ワクチンの種類により、予防できる病気は異なります。ワクチンについては、犬の方が種類が多く、猫の方が種類は少なくなっています。また単独で接種しないといけない疾病もありますので注意が必要です。

D-1. 犬の混合ワクチン

犬の場合コアワクチンのみを網羅したワクチンはなく、コアワクチンを全て網羅する最小のものは5種混合ワクチンです。ノンコアワクチンについては不特定多数の犬との接触が多い個体については、5種以上の混合ワクチンを検討してもよいでしょう。

こちらに記載のない9種以上のワクチンはレプトスピラの血清型が含まれ、内容については販売している製薬会社によって異なります。また、狂犬病に関しては混合ワクチンとは別に単体で接種する必要があります。

ワクチンの種類 疾病名 単独接種 2種 3種 4種 5種 6種 7種 8種
コアワクチン 狂犬病
犬ジステンバー
犬伝染性肝炎
(アデノウイルス)
犬パルボウイルス感染症
ノンコアワクチン 犬パラインフルエンザ
犬コロナウイルス感染症
犬レプトスピラ症
(イクテモヘモラジー)
犬レプトスピラ症
(カニコーラ)

D-2. 犬の混合ワクチン、費用の目安

価格差については、同じ混合ワクチンでも取り扱われているワクチンの種類(製品)がちがうためです。また動物病院は自由診療のため、注射の処置費用や診察費用も個別異なりますので、接種前には、費用の確認をすることが賢明といえます。

■2~3種混合ワクチン 3500円~6000円程
■4~6種混合ワクチン 6500円~7000円程
■7~8種混合ワクチン 7000円~9000円程
■狂犬病ワクチン:3000円程度

D-3. 猫の混合ワクチン

完全室内飼いであれば、コアワクチンを全て含む3種混合ワクチンの接種が推奨されており、少しでも外に出る可能性がある場合は4種以上の接種を勧められることが一般的です。また、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)に関しては混合ワクチンを別に単体で接種する必要があります。

ワクチンの種類 疾病名 単独接種 3種 4種 5種 7種
コアワクチン 猫ウイルス性鼻気管炎
(猫ヘルペスウイルス感染症)
猫カリシウイルス感染症
(FC-7)
猫汎白血球減少症
ノンコアワクチン 猫白血病ウイルス感染症
猫クラミドフィラ・フェリス(クラミジア)感染症
猫カリシウイルス感染症(FC-28)
猫カリシウイルス感染症(FC-64)
猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)

D-4. 猫の混合ワクチン、費用の目安

ワクチンにおける副作用は、犬・猫のワクチンでも実際に事例が確認されています。

2007年の日本小動物獣医師会の調査では,犬にワクチンを接種すると約200頭に1頭で何らかの副作用が見られており,約3万頭に1頭が死亡しているとされています。*

副作用の一般的な症状としては、幹部や体の別部位での腫れやかゆみ、倦怠感(元気減退)や熱などがあげられます。接種後は安静にすることが獣医師からも伝えられますが、異常を感じたらすぐにワクチン接種した病院に伝え、指示を仰ぐようにしましょう。

現在では、副作用の発生リスクも考え、接種期間・間隔について判断する方法として「抗体検査」を行い、血液中の各疾病への抗体の検査を行うこともできます。

*公益社団法人日本獣医学会 (動物の病気や健康) https://www.jsvetsci.jp/10_Q&A/v20160527.html

E. ワクチンの副作用

ワクチンにおける副作用は、犬猫のワクチンでも実際に事例が確認されています。

2007年の日本小動物獣医師会の調査では,犬にワクチンを接種すると約200頭に1頭で何らかの副作用が見られており,約3万頭に1頭が死亡しているとされています。*

副作用の一般的な症状としては、幹部や体の別部位での腫れやかゆみ、倦怠感(元気減退)や熱などがあげられます。接種後は安静にすることが獣医師からも伝えられますが、異常を感じたらすぐにワクチン接種した病院に伝え、指示を仰ぐようにしましょう。

現在では、副作用の発生リスクも考え、接種期間・間隔について判断する方法として「抗体検査」を行い、血液中の各疾病への抗体の検査を行うこともできます。

*公益社団法人日本獣医学会(動物の病気や健康)
https://www.jsvetsci.jp/10_Q&A/v20160527.html

まとめ

ワクチン接種に関しては義務づけられているものも含め、犬・猫の健康を守るためにその必要性は高いといえます。

特に狂犬病については、周辺国では、まだ撲滅された疾病ではなく、外国から日本へ入ってくる可能性はあります。また、狂犬病は猫にも感染する疾病であり、日本国内における飼育頭数が犬を超えていることから、義務の対象が猫に及ぶことも考えられます。

狂犬病を含め、感染症は、人間あるいは輸入動物を媒介し外国から入ってくる可能性もあり、今後はこうした病気への対策も含めより一層ワクチンの必要性が高まると考えられます。

一方で、ワクチンには副作用の危険性もありますので、できるだけ犬猫の体への負担を減らすためにも、かかりつけの動物病院と相談し、接種前に「抗体検査」を行うなど最善の方法を選び、犬・猫を守ってあげましょう。

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