マイクロチップの装着など。改正動物愛護法とは…?改正された内容とポイントについて

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改正動物愛護法の改正ポイントについて。

原稿執筆:ミケ川さん記事執筆:ミケ川(みけかわ)
1男(人)2女(猫)の父。
暇があれば携帯で息子と猫たちの写真を撮るのが趣味。
8歳から現在まで常に動物と暮らしており、肉球からペット保険まで動物関連の情報収集がライフワーク。

2019年6月12日に改正動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正)が、参院本会議で全会一致により可決、成立しました。

元々、日本の動物愛護に対する体制や考え方は、殺処分数の多さなどから、欧米と比べると遅れているといった話はよく聞く話です。しかし、今回の改正ではマイクロチップの装着や適性飼育の促進、虐待等に関する罰則の厳罰化などが盛り込まれ、人と動物の共生する社会の実現へ前進しました。

今回は、2019年6月に改正された動物愛護法のポイントや施行日、今後の検討条項についてまとめてみました。

1. 動物愛護法とは…?

日本の動物愛護法とは、1973年9月に動物の虐待等の防止について定められた、「動物の愛護及び管理に関する法律」のことを指します。略称は動物愛護管理法、一般的には動物愛護法と呼ばれます。

1) 対象範囲
家庭動物だけではなく、展示動物(動物園等)、産業動物(家畜等)、実験動物など広く含みます。

2) 法律の目的
人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的としています。
動物の愛護及び管理に関する法律*
(目的)
第一条 この法律は、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。

*参照: 動物の愛護及び管理に関する法律
(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=348AC1000000105)

また基本原則として、すべての人は「動物は命あるもの」であることを認識し,人間と動物が共生できる社会を目指して適正に取り扱うように定めています。

3) 改正の流れ
2019年の改正までに、3度の改正が行われております。
また、改正とは別に2015年には犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟が超党派で組まれており、近年の動物愛護への関心の高さがうかがえます。

改正年度と概要

改正年度 概要
1999年 現名称に変更し、動物は「命あるもの」と明記
動物取扱業の届出制や飼い主・販売業者の責任の明確化、虐待・遺棄に関わる罰則の強化,
2005年 動物取扱業の登録制、実験動物への配慮、普及啓発、罰則の強化など
2012年 動物愛護法の大幅改正(終生飼養の明文化、多頭飼育の届出制の明示、動物取扱業の規制強化、罰則の強化、自治体の引き取り拒否など)の際に、法施行後5年を経過した場合の見直し条項を規定し、今回の2019年の改正は幼齢の犬猫の販売等の制限やマイクロチップの装着の義務付けについては必要な検討を行うこととしていた。

改正動物愛護法-写真1

2. 改正のポイント

2019年の動物愛護法の改正のポイント*は以下の6つです。

2-1. 動物の所有者又は占有者の責務規定の拡充
2-2. 第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等
2-3. 動物の適正飼養のための規制の強化
2-4. 都道府県等の措置等の拡充
2-5. マイクロチップの装着等
2-6. その他(国際的動向の考慮・獣医師による虐待の通報の義務化など)

前回2012年の改正にて、2019年の改正は幼齢の犬猫の販売等の制限(出生後56日(8週)を経過しない犬猫の販売規制)やマイクロチップの装着の義務付けについては必要な検討を行うこととしていたこともあり、これらが改正の目玉です。

さらに、動物取扱業のさらなる規制強化、動物の不適切な取扱いへの対応強化・罰則の強化なども盛り込まれています。

*参照 :衆議院 動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案要綱
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g19805014.htm)

改正動物愛護法-写真2

2-1. 動物の所有者又は占有者の責務規定の拡充

旧法でも所有者・占有者の動物管理・飼養についての努力規定は存在していましたが、今回の改定ではより厳格になり、環境大臣が法7条7項に基づいて動物の飼養及び保管に関する基準を定めた場合には、当該基準を遵守すべきことが規定されました。(新法7条1項後段)

2-2. 第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等

第一種動物取扱業とは、動物の販売、保管、貸出、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で業として行う者が含まれます。今回はこの第一種動物取扱業への規制や適性飼養等の促進等を目的とし改定がなされています。

1)登録拒否事由の追加
動物の販売については、各都道府県知事への登録が必須ですが、新法12条1項5の2号以下に以下の①~⑤登録拒否事由が追加となりました。これら登録拒否事由の追加の背景には、不誠実な販売者を認めないことが目的と考えられます。

①禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
②種の保存法、鳥獣保護法等の動物保護関連法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
③暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
④第一種動物取扱業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
⑤環境省令で定める使用人のうちに登録拒否事由に該当する者のある者

2)環境省令で定める遵守基準を具体化
旧法21条1項で、第1種動物取扱業者は、環境省令で定める基準を遵守すべき義務を負っていますが、今回の改正により、この基準について、以下の①~⑦ように具体的に定めました。

①飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項
②動物の飼養又は保管に従事する従業者の員数に関する事項
③動物の飼養又は保管をする環境の管理に関する事項
④動物の疾病等に係る措置に関する事項
⑤動物の展示又は輸送の方法に関する事項
⑥動物を繁殖の用に供することができる回数、繁殖の用に供することができる動物の選定その他の動物の繁殖の方法に関する事項
⑦その他動物の愛護及び適正な飼養に関し必要な事項

3)犬猫の販売場所の限定

旧法でも対面販売は規定されていましたが、今回の改正では、犬・猫の販売場所を事業所に限定しました。(新法21条の4)

4)出生後56日(8週)を経過しない犬・猫の販売等を制限(法22条の5)

今回の改正の目玉の1つのいわゆる「8週齢規制」実施です。
8週齢規制とは、幼齢期に親・兄弟などから引き離して犬猫を飼養することで十分な社会化が行われずに、成長後に、噛み癖などの問題行動を引き起こす可能性が高まるとされているため販売を規制するというものです。

前回の改正で8週齢規制は、明記されていたのですが、今回の改正までは、平成24年改正法の附則7条により、経過措置で49日と読み替えられていたため、生後49日経過していれば販売が可能でした(2016年8月31日までは45日)。改正法の施行後は、附則7条が削除され条文の規定通り、8週齢規制が実施されることとなりました。

ただし例外があり、文化財保護法の規定により天然記念物として指定された犬柴犬秋田犬などの日本犬)の繁殖を行う犬猫等販売業者が、犬猫等販売業者以外の者にその犬を販売する場合について、出生後56日を経過しない犬の販売等の制限の特例を設けることとされています。

2-3. 動物の適正飼養のための規制の強化

1)適正飼養が困難な場合の繁殖防止の義務化(新法37条1項)
これまで犬又は猫の所有者は、繁殖防止の措置をとる努力を求められていましたが、今回の改正意向は、義務を負うこととなりました。具体的には、避妊・去勢の義務です。

2)都道府県知事による指導、助言、報告徴収、立入検査等を規定
これまでは、都道府県知事は、多頭飼育によるトラブル・虐待について、勧告・命令を出来ましたが、今回の改正で多頭飼育に限定されることなく、これらに必要な指導・助言・勧告ができ、飼い主に対し、報告の徴求・立入検査を実施することができることとし(新法25条5項)、権限強化がされました。

3)特定動物(危険動物)に関する規制の強化(新法25条の2・26条)

これまでは、特定動物(危険動物)*であっても、都道府県知事の許可で飼養・保管が可能でしたが、これらの愛玩目的での飼養等を禁止となり、さらに特定動物同士の交雑種が規制対象に追加されました。一方で、動物園での展示等の目的の場合は規制対象外となりました。

*人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物(ワニ、カミツキガメなど)として政令で定められた約650種。詳細は以下をご参照ください。
環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室 特定動物リスト https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/sp-list.html

4)動物虐待に対する罰則の引き上げ(新法44条1項ないし3項)
動物虐待などの事件は、少なからず発生し続けており、こうした事件の抑制目的として、旧法と比べ、厳罰化されました。

①動物殺傷罪の法定刑
旧 「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」
改定後「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」

②動物虐待罪・動物遺棄罪の法定刑
旧 「100万円以下の罰金」「改定後 「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」

2-4. 都道府県等の措置等の拡充

1)動物愛護管理センターの業務を規定(新法37条の2以下)
各都道府県の動物愛護管理センターの業務を第一種動物取扱業者の登録や監督、動物の飼養・保管に関する指導等と規定されました。

① 動物取扱業の登録、届出、監督等に関すること。
② 動物の飼養又は保管をする者に対する指導、助言、勧告、命令、報告の徴収及び立入検査に関すること。
③ 特定動物の飼養又は保管の許可及び監督に関すること
④ 犬及び猫の引取り、譲渡し等に関すること
⑤ 動物の愛護及び管理に関する広報その他の啓発活動を行うこと
⑥ その他動物の愛護及び適正な飼養のために必要な業務を行うこと

2)動物愛護管理担当職員の位置付けの明確化(新法37条の3)
動物愛護管理担当職員の設置義務化、指定都市及び中核市以外の市町村に対する動物愛護管理担当職員の設置努力義務化が規定されました

 3)所有者不明の犬猫の引取りを拒否できる場合等を規定(新法35条3項)
都道府県等は、周辺の生活環境が損なわれている事態が生ずるおそれがないと認められる場合その他の引取りを求める相当の事由がないと認められる場合には、その引取りを拒否することができると規定されました。

改正動物愛護法-写真3

2-5. マイクロチップの装着等

1)犬猫等販売業者について(新法39条の2第1項、新法39条の5第1項)
犬又は猫を取得したときは、取得日から30日以内に、マイクロチップを装着し、環境大臣の登録を受けなければならないと規定されました。

2)犬猫等販売業者以外の一般の犬又は猫の所有者について(新法39条の2第2項)
数千円から1万円程度の費用がかかることもあり、犬又は猫にマイクロチップを装着するよう努めることという努力規定に留まっています。

義務化の背景としては、各地方自治体が引き取る犬猫の80%以上が所有者不明といわれており、マイクロチップ装着により、行政に収容された犬・猫を所有者の元に返還できれば、結果として、不必要な殺処分を減らすことにも繋がり、不幸な犬猫を減らすことができます。

また、マイクロチップの装着には、体に異物を入れることに抵抗感がある方も多いですが、近年の大規模災害時にペットとはぐれてしまった場合などの発見にも役立つことから自主的に装着する方も増えており、自治体によっては助成金が出ることもあります。

詳細は以下の記事からご確認ください。
知ってます? マイクロチップの役割や費用、助成金の出る自治体などについて

ちなみに、マイクロチップは国際的な基準として「装着必須」と考えられていて、海外へペット連れで入国する場合主要国であれば、マイクロチップの装着は必須とされています。

2-6. その他(国際的動向の考慮・獣医師による虐待の通報の義務化など)

1)保健所等における殺処分の方法に係る国際的動向の考慮(新法40条3項)
日本で行われる炭酸ガスによる殺処分は、できる限り苦痛を減らさなければならないとする現行の40条1項から乖離しているのが現状で、改善のため国際的動向の考慮が規定されたと考えられます。

2)獣医師による虐待の通報の義務化(新法41条の2)
これまで努力義務だったものが、改正で義務化されました。 

改正動物愛護法-写真4

3. 改正の施行日

改正の施行日は、準備期間などを考慮し、内容により3パターンあります。

1)改正の施行日
原則として公布の日から1年以内とされています。

2)8週齢規制(出生後56日(8週))を経過しない犬猫の販売規制
幼齢の犬又は猫の販売規制については公布の日から2年以内とされています。

3)マイクロチップの装着義務
公布の日から3年以内とされています。

4. 今後の検討条項

今後の検討条項としては、以下の7つについて、施行後五年を目途として、この法律による改正後の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること規定しています。

①実験動物を扱う学校等の動物取扱業者への追加
②両生類に関しての飼養・保管・規制
③動物取扱業者についての規制の在り方
④多頭飼育に関しての飼養・保管
⑤愛護動物の範囲
⑥実験動物に関しての規制
⑦マイクロチップの装着を義務付ける対象の拡大並びにマイクロチップが装着されている犬及び猫であってその所有者が判明しないものの所有権の扱いについて

このように、検討課題はまだまだあるようですが、8週齢規制、虐待等の厳罰化、マイクロチップ装着の義務化などが実現できており、日本も着実に人と動物の共生する社会の実現に近づいています。

今後も、動物と暮らす人々や、動物に恩恵を受けている人々が動物福祉について関心を持ちつづけていくことが、より良い社会にしていくことにつながるのではないでしょうか。

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