記事執筆:ミケ川(みけかわ)
1男(人)2女(猫)の父。
暇があれば携帯で息子と猫たちの写真を撮るのが趣味。
8歳から現在まで常に動物と暮らしており、肉球からペット保険まで動物関連の情報収集がライフワーク。
人間にとっての秋は食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋。過ごしやすく楽しみの多い季節ですね。ところが犬猫などの動物にとっては秋は体調を崩すことが多い季節とされています。
さて、今回は秋に気を付けたい犬・猫の病気・ケガについてまとめました。
1)秋になると犬・猫が体調を崩すのはなぜ?
犬猫が秋になると体調を崩す理由は以下4つが考えられます。
- 疲労の蓄積
- 気温の変化
- 乾燥
- 気圧の変化
①疲労の蓄積
疲労がたまると体調を崩しやすくなるのは人も動物も同じです。とくに夏の間は飼い主の方々も夏休みなどで、ペットを連れて外出することもあるでしょう。また、公園やドッグラン、室内でもいつもより多くの時間遊んであげることができます。
ところが、日本の夏は日差しが強くて蒸し暑いために、動物にとっては過酷な環境です。そうした疲れが蓄積し、秋になって体調を崩すことがあるのです。いわゆる夏バテ状態です。
いつもより動きが遅い、散歩に積極的に散歩に行きたがらないなどの様子が見られた場合は、「疲労の蓄積」によるものかもしれません。
②気温の変化
日本の夏から秋の気温の変化は例年でも4~5℃は異なります。特に昨年(2018年)は特に温度差があり、8月の1日の平均気温は*28.1℃で9月の22.9℃でした。平均で6.2℃も違います。
6℃といわれてもあまりイメージがわかない方は室内の空調を6℃下げてみると。わかりやすいでしょう。一気に涼しくなるため、気温の変化に対応できずに体調を崩すことがあります。
とくに純血種の犬・猫は、出身地域によっては年間を通じて同じような気温の場合もあり、日本のように四季があり年間で20℃近く変化のある地域には適応できないこともあります。
寒さに弱い犬種・猫種は、室温の調整、洋服を着せる、寒い時間の散歩は避けるなど気を使ってあげる必要があります。
*参照:国土交通省 気象庁 観測開始からの毎月の値http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s3.php?prec_no=44&block_no=47662
③乾燥
秋は天気が安定しない日も多いですが、湿気の多い夏場と比べると気温も下がり、乾燥する日も出てきます。乾燥してくると、気管支の弱い個体や、皮膚の弱い個体には悪影響がでます。
また、夏の蒸し暑い時期は、熱中症にならないようこまめに水分補給をさせますが、涼しくなるとあまり気にしなくなってしまいます。暑い時期だけではなく、乾燥をしている時も水分補給を気にかけてあげましょう。
熱中症対策というよりは、水分を取ることで排尿を促し、老廃物を外に出すことが必要だからです。そのため、泌尿器系の弱い個体には水分補給を促す必要があります。
④気圧の変化
日本の秋は台風が多く、気圧の変化が激しい季節でもあります。
気圧の変化は、動物の自律神経や血圧に影響します。ペットの飼育経験がある方の中には、台風が接近すると動物の体調が悪くなることに気づいている人も多いようです。
これは、人間に起こる「気象病」*と考えられます。
「気象病」は近年、認知されつつある病名です。天候や気温・気圧・湿度などの気象条件の変化が、症状の引き金となる疾患の総称です。人間ではめまい、倦怠感・頭痛や古傷の痛み、持病の悪化といった症状がでることがあります。
完全に原因はわかっていませんが、気圧の変化は、耳の中の内耳に影響があると言われています。内耳は平衡感覚をつかさどるため、悪影響があると交感神経が興奮し、自律神経が乱れ、内臓なども含め全身に影響がでます。
2)秋になるとなりやすいケガ・病気と予防方法
秋になると体調不良になる理由を4つ上げましたが、これらが原因により、体におこる異常や悪化しやすいケガ、病気があります。
①食欲不振・嘔吐・下痢
夏バテにより、消化器系に影響が出て、食欲不振や嘔吐、下痢をすることがあります。たかが夏バテと放っておくと様々な病気の引き金になることもあります。特に子犬や子猫、老犬やと老猫などは、衰弱してしまう可能性もありますので、注意が必要です。
予防としては、早期発見が重要です。
食欲が少し落ちてきた、嘔吐したなどの症状は一般的に起きがちなことですが、季節の変わり目に関しては、早めに動物病院に相談してもよいでしょう。
また、猫の場合は、犬と比べ症状が進まないと分かり難い部分もありますので、ちょっと異変を感じたら獣医師に相談することも考えましょう。ペット保険に入っている方は、各保険会社が提供している「獣医師相談サービス」を利用するのも一つの方法です。(サービスの有無は保険会社によります。)
少し食欲が落ちてきている程度の場合はいつもの食事に少しトッピングを加え、食欲を刺激するのもよいでしょう。
②皮膚疾患
温度の変化や気圧の変化などで皮膚疾患をおこすというよりは、元々皮膚炎を罹患している個体の状況が悪化するケースが多いようです。膿皮症、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎を罹患している場合などは、悪化する可能性があります。
予防策としては、こまめなブラッシングと皮膚の確認です。
季節の変わり目は換毛期でもあるのでブラッシングは欠かさず行い、皮膚の様子を確認しましょう。治療中の場合は、獣医師の指示通りに投薬を欠かさず、快方に向かっていたとしても気を抜かずに治療し続けることが大切です。
③気管支炎・喘息
急な気圧の変化や乾燥によって気管支に悪影響が出るケースがあります。人間の気管支炎・喘息も季節の変わり目に悪化することが多く、気管支の弱い犬猫でも気圧の変化により膨張・収縮しており、肺や血管なども影響を受け、気管支炎の悪化や喘息発作が起こることがあります。
特に喘息発作は命に関わることもありますので、季節の変わり目の散歩などは、冷える時間帯や暑すぎる時間帯は避け、病院で処方される予防薬などももらい忘れがないように用意しましょう。
④泌尿器系疾患
気圧の変化により、泌尿器系に悪影響が出る可能性もありますが、水分摂取が十分でない場合でも悪化します。具体的な疾病としては、尿石症、尿道炎などです。
予防策としては、過去に症状があった場合では、泌尿器系疾患用のフードを与えることや、水分摂取量の管理、排尿の回数を確認することが大切です。
⑤循環器系疾患(心臓)
急な温度の変化や気圧の変化で血管が収縮するため、循環器系の疾患を患っている場合悪化する可能性があります。
犬種、猫種で先天的に心臓が弱いケースや老犬・老猫やすでに僧帽弁閉鎖不全症等の心臓疾患に罹患している場合は、命に関わることもあります。心臓関係の疾患が発症・悪化しないように、急激な温度変化を避けるようにし、日頃から細心の注意を払いましょう。
まとめ
秋に限らず季節の変わり目の温度や気圧変化は、犬・猫の体調に影響があるということを把握しておくことが重要です。
かかりつけ動物病院での定期的な健康診断も大切ですが、普段との違いにいち早く気がつけるのは、いつも一緒にいる家族だけです。
飼い主や家族が、食事の量の違い、排便・排尿の回数や形状、ブラッシング等での異常の確認を心がけ、愛犬・愛猫に体調の変化がないかということを絶えず気にしていくことが、最も大切なことです。
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